外国人の問題 魔女狩りで争いは終わる?

尊厳経済

「外国人が増えたら危ない」という不安

最近、外国人の受け入れについて、

「外国人が増えれば犯罪が増える」

「外国人労働者が増えれば、日本人の仕事がなくなる」

という声を目にします。

自分は、こういう意見をすぐに「差別だ」と切り捨てたいわけではありません。

外国移民の大量受け入れに反対する人の立場になれば、

外国人による事件を見る。

SNSで迷惑行為の動画を見る。

すると、

「もっと外国人が増えたら、事件も増えるんじゃないか」

「自分の子どもや家族が被害に遭ったらどうするんだ」

という不安が生まれる。

仕事についても、

「ただでさえ生活が苦しいのに、外国人労働者が増えたら、日本人の仕事や給料が奪われるんじゃないか」

と思うかもしれません。

その背景にあるのは、

家族を守りたい。
仕事を守りたい。
今まで暮らしてきた地域を守りたい。

という思いなのかもしれません。

その気持ちは理解できます。

だからこそ、一度確認したいのです。

その「怖い未来」は、本当に事実なのでしょうか?

犯罪と雇用、実際のデータを見ると?

もちろん、外国人による犯罪は存在します。

犯罪をした人には、国籍に関係なく法律に基づいて対応する必要があります。

しかし、

「外国人による犯罪がある」

ことと、

「外国人が増えるほど犯罪率が上がる」

ことは別です。

NIRA総合研究開発機構が警察庁などの統計を分析したところ、2011年から2024年に在留外国人数は増えていますが、外国人の刑法犯検挙人数は若干減少しており、外国人の増加に伴って犯罪率が上昇した証拠は確認できないとしています。

一方、犯罪の形態には違いもあり、個別の課題への対応は必要です。

雇用も同じです。

「仕事は100個の椅子しかない。外国人が20人来れば、日本人20人が座れなくなる」

と考えれば、外国人が増えるほど日本人の仕事がなくなるように感じます。

ところが、現実の経済はそんな単純な椅子取りゲームではありません。

国内外の研究では、移民流入によって短期的に賃金低下や失業率上昇が起こる可能性は理論上ありますが、実際の研究では、そうした影響が常に観察されるわけではありません。

また、厚生労働省の2025年調査では、企業が外国人を雇う理由の第1位は、

「労働力不足の解消・緩和」68.2%

でした。

もちろん、

「外国人を増やしても絶対に問題は起きない」

という意味ではありません。

大切なのは、

イメージだけで結論を出さず、実際の数字を見ること

だと思います。

人間は「事実」より「感覚」を信じることがある

外国人による衝撃的な事件を見る。

↓

「外国人が増えたら、こういう事件も増えるのでは?」

と考える。

↓

「家族が被害に遭ったら怖い」

という感情が生まれる。

↓

「だから外国人を増やしてはいけない」

という結論になる。

ここには本来、

事実 → 解釈 → 感情 → 結論

という段階があります。

ところが、人間は途中にある「自分の解釈」を忘れてしまうことがあります。

すると、

「自分はこう考える」

だったものが、

いつの間にか、

「これが事実だ」

になる。

さらに、

「自分は正しい」

になり、

違う意見の人を、

「現実を知らない」

「お花畑だ」

とジャッジし始める。

ただし、逆も同じです。

外国人受け入れに反対する人を、

「差別主義者だ」

と最初から決めつけ、その人がなぜ不安になっているのかを聞かなければ、同じ構造になります。

自分の解釈を絶対の事実にして、反対意見の背景を聞かなくなる。

自分は、ここが一番怖いところだと思っています。

「自分だけが正しい」が魔女狩りを生む

一人の外国人が犯罪を起こした。

だから、

「外国人は危険だ」

「外国人を減らせ」

となる。

さらに、

外国人受け入れに賛成する人まで、

「現実を知らない人」

「敵」

になっていく。

逆に、

外国人受け入れに反対する人を一括りにして、

「差別する悪い人たち」

としてしまう。

これでは、お互いが相手を「魔女」にしているのと変わらないのではないでしょうか。

もちろん、戦争には領土、資源、安全保障、経済、権力など、さまざまな原因があります。

ただ、

「自分たちは正しい。相手は間違っている」

という正しさが絶対化され、

相手の立場や背景を聞かなくなる。

自分は、その状態が対立を大きくする**「戦争の種」**の一つになると思っています。

相手の意見を聞くことは、

相手の意見に従うことではありません。

話を聞く。

事実を確認する。

議論する。

それでも一致しなければ、妥協することもある。

歩み寄ることもある。

時には、反対意見があることを理解したうえで、政治として決断し、実行しなければならないこともあるでしょう。

大切なのは、

意思決定する前に、自分の正しさだけが世界のすべてになっていないかを見ること

だと思います。

AI時代だからこそ、反対意見を聞ける教育を

この問題は、AI時代になるとさらに重要になります。

例えば、

「外国人が増えると犯罪が増える理由を教えて」

とAIに質問する。

最初から質問の中に、

「外国人が増えると犯罪が増える」

という前提が入っています。

AIからその前提に沿った情報が返ってくれば、

「ほら、AIも自分が正しいと言っている」

となるかもしれません。

AIは、自分の視野を広げる道具にもなります。

一方で使い方によっては、

自分がもともと持っていた正しさを、さらに強化する道具

にもなり得ます。

だからこそ、

「反対側から見たらどうなる?」

「この前提そのものは正しい?」

と、自分の正しささえ問い直せる教育が必要だと思います。

そんな中、福岡市長選への立候補を表明している荒牧明楽さんは、AI時代に新しい教育をつくることを訴えています。

今回紹介した街頭演説では、

「外国人を排除すれば、解決する。本当にそうでしょうか」

という問いから、

日本人と外国人という違いを超えて、

お互いの可能性を応援し合える関係をつくること、

そして、その変化を支える「教育」について語っています。

自分は、

荒牧さんの考えが正しいから見てください、

と言いたいわけではありません。

むしろ、

賛成でも反対でもいい。
まず本人が何を言っているのか、そのまま聞いてみる。

そして、

「自分はどう思う?」

「反対の立場ならどう見える?」

と考えてみる。

政治とは、本来そんな対話を積み重ねながら、最後には意思決定していくものではないでしょうか。

外国人問題は、

単に、

「入れるか、追い出すか」

だけの問題ではありません。

その奥には、

違う考えを持つ人間同士が、どう出会い、どう一緒に未来を決めていくのか。

という、もっと大きな問いがあると思っています。

▶︎ 荒牧明楽さんの街頭演説
https://www.instagram.com/p/DdYhCjeBd5s/?hl=ja

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